ガイドブック政治

政府の構造

政府の構造
国会議事堂
1901年にオーストラリア連邦が成立して以来、オーストラリアではイギリスの議会制度と同じ二院制を採用し、独立国家としての一歩を踏み出しました。体制は、基本的にイギリスやアメリカの民主主義をモデルとしていますが、その形態は独特です。

オーストラリアでは立憲君主制による議会制民主主義が採用されておリ、英国の国王を連邦および州の元首としますが、その場合の称号は英国国王ではなく、オーストラリア国王となります。国内では、連邦政府の推薦によって国王に任命された連邦総督と州総督が国王の代理を務めますが、特別な状況を除き重要な政治上の判断を任されることはありません。連邦成立以来、オーストラリアの政府は連邦と州と地方自治体の3層構造となっています。各州がそれまでに植民地政府として持っていた権限をできる限り維持するという了解の下、連邦国家の憲法が成立したという経緯からも分かるように、オーストラリアにおける連邦政府と州政府の関係は、日本の「国」と「都道府県」の関係に見られるような中央集権的な関係に比べ、より対等な関係にあるといえます。

連邦政府の権限

連邦政府の権限
連邦議会は上院と下院の二つの議員からなり、公選された議員によって構成されています。下院で議席の過半数を得た政党、および連合が政権政党となり、両院議員の中から任命された閣僚が内閣を構成し、行政に携わります。連邦議会の任期は上院で6年、下院では3年となっています。連邦政府は国防や外交、移民政策、社会福祉、貿易など国民全体に関わる問題を扱う国務全般に関する権限を有しています。

州政府の権限

州政府の権限
ビクトリア州議会議事堂
州政府の責任の範囲は国の憲法によって定められておリ、州法の規定が連邦法と矛盾した場合には、連邦法が優先されます。州政府は、主に教育、運輸、保健衛生、行政処分に関する権限を有していますが、実際には連邦政府との連携が行われています。
各政府は連邦政府から財源援助を受けますが、独自に税金を集めることもでき、これらの財源を使って公共施段の管理・運営サービスを提供しています。

地方自治体の権限

地方自治体は、町・地方区域・都市の一定区域などの行政に責任を持つ地方議会からなリます。地方議会はカウンシルと呼ばれ、地元選挙民によって選出された地方議会議員から成リ、自治体の首長がこれを率います。地方自治体は各州と準州・特別地域の制定法によって自治権が与えられ、その公務は地域によって異なります。地方自治体の責任の範囲として一般的なものには、公立図書館の運営・管理、地域の道路や下水・給水の管理、廃棄物処理および公衆衛生、予防接種や幼児福祉等の地域社会奉仕、建築基準法の施行などがあリます。

民主政治

オーストラリアは、宗教上の寛容と言論・結社の自由を保証した、自由民主主義の伝統に基づく、議会制民主主義の国です。国内には政権の座を争う二大政党である社会民主主義の「労働党」と、保守派である「自由党」の他に複数の政党が存在します。オーストラリアでは、18歳以上のすべての国民に投票する権利が与えられています。また、この国の投票制度には、その革新性から世界的に知られてきたものがいくつかあります。
・義務投票制度
オーストラリアの連邦と州の選挙では、すべての国民に投票が義務付けられています。投棄権を与えられた国民が、連邦・州の選挙で正当な理由なく投票を怠った場合は、罰金が課せられます。
義務投票の制度が1924年に導入されて以来、オーストラリアでは投票率が一貫して90パー セント以上で推移しています。
・女性参政権
1902年、オーストラリアの新連邦議会の選挙における女性の投票が認められました。この国の女性参政権の制定は、イギリスやアメリ力に20年程先立つもので、オーストラリアは世界で最も早く女性参政権を導入した国のーつとなりました。
・無記名投票
オーストラリアは世界で最初に無記名投票を実施した国のひとつで、これは後にオーストラリア式投票として知られるようになリました。19世紀の中頃に投票が実施されるようになって以来、無記名投票はこの国の投票制度の特色となっています。